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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻6号

2008年06月発行

文献概要

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著

翼状片手術後に強膜膿瘍をきたした慢性腎不全患者の1例

著者: 多田憲太郎1 角環1 福島敦樹1 上野脩幸1

所属機関: 1高知大学医学部眼科学講座

ページ範囲:P.885 - P.887

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要約 目的:翼状片の手術後に強膜膿瘍が生じた慢性腎不全患者の報告。症例:20年前から高血圧,痛風,腎不全があり,1年前から透析を受けている71歳男性が,左眼の翼状片手術を受けた。遊離結膜弁移植が行われ,弁は上方の輪部付近から採取され,その部位のテノン囊は露出したままであった。5週間後に眼痛と充血が生じ,結膜弁の採取部位に強膜膿瘍があった。複数の抗生物質とステロイド剤の点眼は無効で,その4週間後に当科を受診した。強膜中層に及ぶ膿瘍があり,薬物が奏効しなかったため,膿瘍を切除した。抗生物質の点眼のみで術後の経過は良好であり,膿瘍の再発はなかった。結論:薬物療法に抵抗する強膜膿瘍には,排膿と切除が有効である。

参考文献

1)豊島 馨・岩田英嗣・林 暢紹・他:フサリウムによる強角膜膿瘍の1例.あたらしい眼科 23:813-816,2006
2)大橋裕一:外眼部感染症入門.坪田一男(編):眼科プラクティス3.オキュラーサーフェスのすべて.172-177,文光堂,東京,2005
3)Hsiao CH, Chen JJY, Huang SCM et al:Intrascleral dissemination of infectious scleritis following pterygium excision. Br J Ophthalmol 82:29-34, 1998
4)Huang FC, Huang SP, Tseng SH:Management of infectious scleritis after pterygium excision. Cornea 19:34-39, 2000
5)Su CY, Tsai JJ, Chang YC et al:Immunologic and clinical manifestations of infectious scleritis after pterygium excision. Cornea 25:663-666, 2006
6)松本泰明・三間由美子・河原澄枝・他:緑膿菌性壊死性強膜炎の1例.あたらしい眼科 22:1253-1258,2005
7)松本光希:緑膿菌と角膜感染症.あたらしい眼科 15:95-100,1998
8)亀井裕子:細菌バイオフィルムとスライム産生.あたらしい眼科 17:175-180,2000

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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