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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻6号

2008年06月発行

文献概要

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著

柳川リハビリテーション病院におけるロービジョンケア.第12報.眼科医療から就労支援団体・機関への連携

著者: 高橋広1 工藤正一2

所属機関: 1柳川リハビリテーション病院眼科 2中途視覚障害者の復職を考える会(タートルの会)

ページ範囲:P.903 - P.909

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要約 背景:視覚障害者の就労環境はきわめて厳しい。目的:雇用継続のために就労を支援する団体や機関との連携についての現状の報告。対象と方法:過去7年間に当院でロービジョンケアを行い,就労または雇用で問題が生じた141例を対象とした。男性104例,女性37例で,年齢は18~64歳である。原因疾患では網膜色素変性が71例で最も多かった。これら141例の連携先,ロービジョンケア前後の就労や雇用状態を検討した。結果:63例(45%)が患者団体を含む就労支援団体または機関,26例(18%)が患者団体のみと連携した。これら89例のうち,障害の受容に至っていない42例(47%)は「中途視覚障害者の復職を考える会」と連携し,28例(66%)が仕事を継続できた。連携しなかった例では在職者が減り,無職者が増えた。結論:眼科医療側の対応のみで視覚障害者の雇用の継続は困難であり,就労を支援する団体または機関と積極的に連携することが望まれる。

参考文献

1)篠島永一:中途視覚障害者の職場復帰を考える.日本ロービジョン学会誌 3:15-18,2003
2)日本盲人福祉委員会:中途視覚障害者のリハビリテーション.生活訓練・職業訓練・職場復帰支援施策.日本の視覚障害者.2004年版.23-28,東京,2005
3)障害者福祉研究会:わが国の身体障害児・者の現状.平成13年身体障害児・者実態調査結果報告.中央法規,東京,2003
4)岡田伸一:視覚障害者の職業指導と能力開発.あたらしい眼科 18:185-189,2000
5)山田信也・高橋 広:産業医科大学病院眼科におけるロービジョンケア.第2報.職業的ロービジョンケア.眼紀 50:476-480,1999
6)高橋 広:私のロービジョンケア7.職場復帰を果たした視覚障害者.臨眼 57:1668-1673,2003
7)高橋 広・山田信也:柳川リハビリテーション病院におけるロービジョンケア.第10報.ロービジョンケアにおける眼科主治医の役割―レーベル遺伝性神経症の場合.臨眼 59:1281-1286,2005
8)高橋 広・久保恵子・室岡明美・他:柳川リハビリテーション病院におけるロービジョンケア.第11報.労働災害に両眼を失明した患者へのロービジョンケア.眼紀 57:531-534,2006
9)工藤正一:在職中のロービジョンケアで職場復帰を果たした1例.支援団体からみた支援のあり方.眼紀 57:884-889,2006
10)簗島謙次:ロービジョンケアにおけるチームアプローチの重要性.眼紀 57:245-250,2006.
11)日本眼科医会公衆衛生部:「地域の眼科医に対する視覚障害者の雇用支援に関する周知について」の協力依頼について.日本の眼科 78:1771-1781,2007
12)津田 諭:視覚障害者の就労の課題.現状認識と今後.眼紀 58:265-268,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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