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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻6号

2008年06月発行

文献概要

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著

黄斑部錐体機能から推察する網膜色素変性の左右差

著者: 辰巳郁子1 中村元2 大石明生2 佐々原学2 小嶌洋史2 栗本雅史3 大谷篤2 吉村長久2

所属機関: 1大阪赤十字病院眼科 2京都大学大学院医学研究科感覚運動系外科学(眼科学) 3京都桂病院眼科

ページ範囲:P.911 - P.915

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要約 目的:網膜色素変性での錐体機能の左右差の検討。対象と方法:過去11か月間に網膜色素変性と診断した初診患者71例を対象とした。男性31例,女性40例で,すべて両眼発症であり,年齢は平均45±16歳であった。黄斑部局所網膜電図と光干渉断層計(OCT)を用い,視力はlogMARで評価した。症例はOCTで描出される視細胞の内節と外節の境界線の所見から,2mm以下の1型と2mmを超える2型に分類した。結果:病初期と推定される1型は24人48眼,進行期と推定される2型は21人42眼で,年齢はそれぞれ48±18歳,45±17歳であった。視力は両型とも左右眼の間に弱い相関があった。網膜電図の振幅は,1型では弱い相関,2型では強い相関が左右眼の間にあった。網膜電図のb波とOP波は,1型,2型ともに左右眼の間に強い相関があった。潜時は両型ともにa波とb波ともに左右眼の間に弱い相関があり,OP波には強い相関が左右眼の間にあった。結論:網膜色素変性での錐体機能は,病初期から両眼がほぼ同等に障害される。

参考文献

1)石川一之・羽鳥優子・高相道彦・他:網膜色素変性患者の視力と年齢.眼紀 51:1157-1160,2000
2)Grover S:Visual acuity impairment in patients with retinitis pigmentosa at age 45 years or older. Ophthalmology 106:1780-1785, 1999
3)渡辺 朗・月花 環・神前賢一:片眼性から両眼性に進展した網膜色素変性の臨床所見.眼紀 57:744-748,2006
4)村山耕一郎・安達恵美子・霜鳥政光:著しい左右差を認めた網膜色素変性の電気生理学的考察.眼紀 39:2087-2092,1988
5)Oishi A, Nakamura H, Tatsumi I et al:Optical coherence tomographic pattern and focal electroretinogram in patients with retinitis pigmentosa. Eye(in press)

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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