icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻6号

2008年06月発行

文献概要

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著

角膜・水晶体を貫き硝子体深部まで刺さった銅線刺傷例

著者: 岡野正1 松野員寿1

所属機関: 1東京医科大学霞ヶ浦病院眼科

ページ範囲:P.917 - P.921

文献購入ページに移動
要約 目的:銅線による眼球刺傷例の報告。症例:34歳男性が電気工事中に1.2mm径の銅線が左眼に刺さった。その4時間後に,銅線が刺入したまま受診した。所見と経過:視力は30cm/指数弁であった。銅線は角膜,虹彩,水晶体を貫き,硝子体まで14mmの深さまで刺さっていた。その1時間後に18mmの長さの銅線を抜去し,角膜創を縫合し,水晶体を乳化吸引した。眼底は正常であった。房水の培養で菌は陰性であった。10か月後に眼内レンズを挿入し,7年後まで経過を観察した。視力は受傷から1週後に0.4,2か月後に1.0,4か月~7年後は1.2であった。視野に異常はなく,眼球銅症は起こらなかった。結論:眼球の穿孔性外傷では,刺入物が栓として機能すれば,眼球内容の脱出や変形が防げる。ただちに抜去せずに,専門医による手術を受けることが良策である。

参考文献

1)Duke-Elder S:Textbook of Ophthalmology. Vol 6. 6185-6197, Henry Kimpton, London, 1954
2)Grant WM:Textbook of Toxicology of the Eye. 312-318, Thomas, Springfield, 1974
3)Kuhn F, Robert M, Douglas CW et al:A standardized classification of ocular trauma. Ophthalmology 103:240-243, 1996
4)今井雅仁・飯島裕幸・武井美恵子・他:28カ月間良好な網膜機能を保った眼球銅症の1例.臨眼 42:172-175,1988
5)宮代美樹・伊東滋雄・西村哲哉:飛入13年後に前房に現れた眼内銅片異物の症例.眼臨 88:165-167,1994
6)尾花 明・浅井 裕・三木徳彦:毛様体刺入銅異物の摘出手術.眼科手術 7:653-656,1994
7)八木橋朋之・若林美宏・藤田 聡・他:受傷後22年で判明した眼球銅症.日眼会誌 110:990-994,2006
8)Rao NA, Tso MO, Rosenthal AR:Chalcosis in the human eye. Arch Ophthalmol 94:1379-1384, 1976
9)Rosenthal AR, Marmor MF, Leuenberg P et al:Chalcosis. A study of natural history. Ophthalmology 86:1956-1969, 1979
10)Delaney WV:Presumed ocular chalcosis. A reversible maculopathy. Ann Ophthalmol 7:378-380, 1975

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?