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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻7号

2008年07月発行

文献概要

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(5) 原著

眼内レンズ光学径と前囊切開創の大きさの差異による水晶体上皮細胞の増殖性

著者: 秦桂子1 斉藤伸行2 大井彩1 松本直1 平田香代菜1 松橋正和1

所属機関: 1東邦大学医学部眼科学第1講座 2荻窪病院眼科

ページ範囲:P.1077 - P.1081

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要約 背景:白内障手術での眼内レンズ挿入後に生じる後囊混濁での細胞増殖には,各種ガングリオシドが関係する。目的:ブタ水晶体に眼内レンズを挿入して培養し,前囊切開の大きさと各種ガングリオシドの量との関係を検索した報告。対象と方法:摘出したブタ眼の水晶体から核と皮質を除去し,光学部径が6mmの眼内レンズを挿入した。前囊切開の大きさは5mmまたは6.5mmとした。水晶体を眼内レンズとともに摘出して培養した。1週と2週後に水晶体上皮からガングリオシドを抽出し,クロマトグラフィで定量した。総計60眼を用い,各群を10眼とした。結果:GM1とGM3は,6.5mm群よりも5mm群で有意に多かった。シアリルルイスXは,5mm群よりも6.5mm群で有意に多かった。結論:前囊切開創が眼内レンズの光学部径よりも大きい6.5mm群では,水晶体上皮の移動と増殖が活発であることを示す実験結果が得られた。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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