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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻7号

2008年07月発行

文献概要

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(5) 原著

全層角膜移植後の拒絶反応についての検討

著者: 山田直之1 田中敦子1 原田大輔1 川本晃司1 森重直行1 近間泰一郎2 西田輝夫1

所属機関: 1山口大学大学院医学系研究科情報解析医学系学域眼科学講座 2山口大学医学部眼病態学講座

ページ範囲:P.1087 - P.1092

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要約 目的:全層角膜移植後に発症した拒絶反応の治療成績と関連因子の報告である。対象:2005年までの12年間に全層角膜移植を543例611眼,累計690回行い,拒絶反応が起こった75例79眼,累計93回を診療録に基づいて検索した。年齢は17~91歳(平均57歳)であった。結果:角膜移植から拒絶反応が発症するまでの期間は10~4,287日(平均582±756日,中央値323日)であった。拒絶反応発症から治療開始までの期間は0~44日(平均7.0±8.6日)であった。角膜内皮細胞の密度は,拒絶反応発症前が1,946±961個/mm2,発症後が1,083±499個/mm2であった。拒絶反応が生じてから7日以内に治療を開始した54眼では30眼(56%)で移植片が透明化し,8日以降に開始した17眼では4眼(24%)で透明化した。この2群間には有意差があった。結論:全層角膜移植後の移植片の拒絶反応は,発症後できるだけ早く治療すべきであり,1週間以内であれば透明性が回復する可能性が高い。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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