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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻7号

2008年07月発行

文献概要

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(5) 原著

超音波白内障手術中に発症し手術続行が困難であった上脈絡膜滲出液貯溜の2例

著者: 金川知子1 藤田善史1

所属機関: 1藤田眼科

ページ範囲:P.1103 - P.1106

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要約 目的:白内障手術中に上脈絡膜滲出が突発した2症例の報告。症例:75歳男性の右眼と71歳女性の左眼に白内障手術を行った。2例とも全身または眼に格別の問題はなかった。2例とも超音波核乳化吸引を終了し,超音波チップを前房から抜去した直後に前房が消失し,眼圧が上昇した。1例は前房形成が不全のまま眼内レンズを挿入した際に破囊した。他の1例では皮質吸引中に手術を中断し,翌日に残存皮質吸引と眼内レンズを挿入した。2例とも術後に脈絡膜剝離があったが,滲出液はそれぞれ2週間後と3か月後に自然に消失した。結論:上脈絡膜への滲出液貯溜は稀ではあるが重大な白内障手術の術中合併症である。破囊や脈絡膜出血などを回避するために,すみやかに創口を閉鎖し,翌日以降に手術を延期すべきである。

参考文献

1)Maumenee AE, Schwartz MF:Acute intraoperative choroidal effusion. Am J Ophthalmol 100:147-154, 1985
2)Ruiz RS, Salmonsen PC:Expulsive choroidal effusion:a complication of intraocular surgery. Arch Ophthalmol 94:69-70, 1976
3)Speaker MG, Guerriero PN, Met JA et al:A case-control study of risk factors for intraoperative suprachoroidal expulsive hemorrhage. Ophthalmology 98:202-210, 1991
4)小濱 聡・松本行弘・筑田 眞:自然発症したmassive suprachoroidal hemorrhageの症例.眼臨 101:46-51,2007
5)Mackool RJ, Shirota M:Infusion misdirection syndrome. J Cataract Refract Surg 19:671-672, 1993

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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