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特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(5) 原著
黄斑浮腫により発見されたバックル感染の1例
著者: 大坪哲三1 荒川明1
所属機関: 1横浜船員保険病院眼科
ページ範囲:P.1113 - P.1115
文献購入ページに移動要約 目的:黄斑浮腫により網膜剝離術後のバックル感染が発見された症例を報告する。症例:74歳の男性が4日前からの左眼痛で受診した。6年前に網膜剝離手術を受けていた。矯正視力は右0.7,左0.6であった。所見:格別の病的所見がなく,ドライアイとして点眼による治療を行った。7か月後に左眼視力が0.2に低下した。3か月後にさらに視力が低下し,蛍光眼底造影で黄斑浮腫に相当する所見が得られた。眼球の強い下転時に球結膜の充血と眼脂があり,バックルが露出していた。バックルの除去と抗菌薬点眼などで視力が0.6に改善した。眼脂からCorynebacterium 属の菌が分離された。結果:愁訴が軽微であっても,バックルによる網膜剝離手術の既往があれば,感染の可能性を疑うべきである。
参考文献
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