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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻7号

2008年07月発行

文献概要

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(5) 原著

眼窩先端症候群を呈した蝶形骨洞腺癌の1例

著者: 田片将士12 栗本拓治2 三宅敦子3 村田吉弘3 岡本紀夫2 三村治2

所属機関: 1紀洋会岡本病院眼科 2兵庫医科大学眼科学講座 3公立八鹿病院眼科

ページ範囲:P.1139 - P.1143

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要約 目的:眼窩先端症候群を呈した蝶形骨洞腺癌の症例を報告する。症例:62歳の女性が右顔面のしびれと眼痛で近医を受診し,顔面神経痛と診断された。1か月後に右眼視力が急激に低下し,その翌日に当科を受診した。所見と経過:矯正視力は右10cm指数弁,左0.6で,右眼に外転制限と内斜視があった。右眼乳頭に軽度の発赤・腫脹があり,右眼視野が高度に狭窄していた。磁気共鳴画像検査(MRI)で眼窩先端部に巨大な腫瘤があり,病理学的に蝶形骨洞腺癌と診断された。精査により肝転移と骨転移が発見され,当科初診から5か月後に死亡した。結論:原因不明の持続性眼痛では,稀ではあるが副鼻腔または眼窩腫瘍の可能性がある。

参考文献

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13)中川雅文・相馬新也・中西文美・他:原発性蝶形骨洞症例.耳鼻咽喉科展望 38:204-210,1995
14)佐藤公則・坂口伸治・松岡秀隆・他:蝶形骨洞癌に対するInduction chemotherapy放射線併用療法.耳鼻臨床 80(補):92-94,1995

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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