臨床眼科62巻7号

2008年07月発行

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(5) 原著

アーク溶接の研修作業中に黄斑熱傷を起こした1例

著者： 長岡朋子¹² 河原崎由佳子¹ 松橋正和²

所属機関： ¹湘南病院眼科 ²東邦大学医学部眼科学第一講座

ページ範囲：P.1145 - P.1148

要約　目的：アーク溶接中に網膜熱傷が生じた症例を報告する。症例：20歳の男性がアーク溶接の研修作業中に，溶接保護用具を装着しないでアーク光を注視した。その翌朝，視野の中心が白っぽくぼやけることを自覚して来院した。所見：視力は右0.2，左0.3で，両眼の中心窩に類円形の白い混濁があり，両眼に中心暗点があった。2か月後に傍中心視力は回復したが，中心視力は右0.06，左0.05であった。結論：アーク溶接で網膜熱傷が生じた例は，調べた限りでは日本では報告がない。このような事故を防ぐために，アーク溶接では顔面の保護用具の装着を励行するべきである。

参考文献

1）佐々木健二・道場恵美子：外傷性散瞳が誘因となった太陽性網膜炎の1例．眼臨　75：1226-1228，1981

2）八塚秀人・岸　尚文・古嶋正俊・他：太陽性網膜炎の1例．臨眼　47：1575-1577，1993

3）林　振民・林　麗如・阿部恵子・他：重症太陽性網膜炎の1例．臨眼　53：1145-1149，1999

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