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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻8号

2008年08月発行

文献概要

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(6) 原著

眼球運動障害から発症し肥厚性硬膜炎を合併した難治性強膜炎の1例

著者: 石塚哲也1 篠崎和美1 大平明彦1 小野由子2 古谷達之1 陳麗理1 堀貞夫1

所属機関: 1東京女子医科大学眼科学教室 2東京女子医科大学放射線科

ページ範囲:P.1255 - P.1261

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要約 目的:眼球運動障害で初発し,肥厚性硬膜炎に併発した強膜炎の症例の報告。症例:75歳女性に,3週間前から右眼の眼瞼下垂,内転と下転障害,強膜炎があった。動眼神経不全麻痺と診断し,ステロイドとシクロスポリン点眼を開始した。1か月後に後部強膜炎が発症し,初診から2か月後に視神経周囲炎が起こり,視力が0.1に低下した。造影磁気共鳴画像検査(MRI)で肥厚性硬膜炎が発見された。プレドニゾロンのセミパルス療法で徐々に寛解し,眼瞼下垂,複視,強膜炎は消退し,視力が0.8に改善した。結論:強膜炎に動眼神経麻痺や頭痛が併発するときには,肥厚性硬膜炎の可能性がある。本症例では造影磁気共鳴画像検査が有用であった。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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