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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻8号

2008年08月発行

文献概要

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(6) 原著

潰瘍性大腸炎に併発したカンジダ角膜炎の1例

著者: 梶原淳1 小沢昌彦1 野田美登利1 内尾英一1

所属機関: 1福岡大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1285 - P.1288

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要約 目的:カンジダ角膜炎が経過中に発症した潰瘍性大腸炎の症例の報告。症例と経過:68歳男性が潰瘍性大腸炎と診断され,プレドニゾロン内服と中心静脈栄養(IVH)が行われた。治療開始から5週間後に血液培養でCandida albicansが検出された。両眼に角膜後面沈着物があり,前部ぶどう膜炎と診断した。ステロイド剤の点眼と抗真菌薬の全身投与で眼所見は寛解した。11か月後に膿瘍と前房蓄膿を伴う角膜潰瘍が右眼に発症した。擦過物からC. albicansが検出された。抗真菌薬の点眼と内服で6週間後に瘢痕治癒した。結論:カンジダ血症では,軽症の前眼部ぶどう膜炎が長期間続いたのちに真菌性角膜炎が生じうることを本症例は示している。

参考文献

1)越山 健・仲村宗平・田口千賀子・他:潰瘍性大腸炎に合併した汎ぶどう膜炎の3例.臨眼 60:1237-1243,2006
2)唐 尚子・南場研一・松村昌祐・他:大量の線維素析出を伴うぶどう膜炎を発症した潰瘍性大腸炎の1例.臨眼 59:1609-1612,2005
3)Schuman MF, Sugar A:Peripheral corneal infiltrates in inflammatory Bowel disease. Ann Ophthamol 13:109-111, 1981
4)野々山智仁:内因性真菌性眼内炎.眼科医の立場から.化学療法の領域 21:987-993,2005
5)薬師川浩・林 理・東川昌仁・他:経中心静脈高カロリー輸液(IVH)の既往がない内因性真菌性眼内炎の2症例.眼紀 54:139-142,2003
6)Grabchi FD, Rembacken BJ:Inflammatory bowel disease and eye. Surv Ophthamol 48:663-676, 2003
角膜真菌症の2例.あたらしい眼科 18:781-785,2001
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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