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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻8号

2008年08月発行

文献概要

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(6) 原著

ガラクトシアリドーシス(晩期乳児型)の眼所見

著者: 多島朋子12 河田博1 幸田富士子1 梅田陽3 高橋理香1 蒔田浩司1 石橋健1 土田展生1 北野滋彦2

所属機関: 1公立昭和病院眼科 2東京女子医科大学病院糖尿病センター眼科 3昭和大学横浜市北部病院こどもセンター

ページ範囲:P.1303 - P.1307

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要約 目的:晩期乳児型ガラクトシアリドーシスの症例の報告。症例:2歳9か月の男児が精査の目的で小児科から紹介された。妊娠と出産は正常で,血族結婚ではなく,8歳の姉は正常である。精神・運動発達が遅く,ガーゴイル様の顔貌を呈していた。白血球のβガラクトシダーゼの活性が低下し,皮膚線維芽細胞のカテプシンA,βガラクトシダーゼとシアリダーゼの活性低下があり,ガラクトシアリドーシスと診断されていた。所見:両眼に軽度の視神経萎縮と桜実紅斑があった。5歳になるまで眼底所見に大きな変化はなく,矯正視力は左右とも0.1のままであった。結論:本症例での視力障害は,ガラクトシアリドーシスに続発した黄斑機能の障害と視神経萎縮が主原因であると推定される。

参考文献

1)桜庭 均・伊藤孝司・新本美智枝:多機能性保護蛋白質とその遺伝性欠損症‘ガラクトシアリドーシス’.生化学 65:561-566,1993
2)新本美智枝:ガラクトシアリドーシス.小児科診療 4:627-632,1995
3)伊藤孝司・新本美智枝・桜庭 均:ガラクトシアリドーシス.日本臨牀(別冊)先天性代謝異常症候群.下巻.407-410,1998
4)桜庭 均:シアリドーシスとガラクトシアリドーシス.小児内科 35(増刊):488-493,2003
5)Goldberg MF, Cotlier E, Fichenscher LG et al:Macular cherry-red spot, corneal clouding, and galactosidase deficiency. Arch Intern Med 128:387-398, 1971
6)辻 省次:ガラクトシアリドーシスの生化学.脳と神経 43:225-230,1991
7)宮下光太郎・宮武 正:ガラクトシアリドーシス―臨床.脳と神経 43:205-214,1991
8)樋口みち子・大関尚志・草場葉子・他:Cherry-red spot,角膜混濁および種々の神経症状を呈した成人例3家系6症例.臨眼 35:937-943,1981
9)Usui T, Takagi M, Abe H et al:Adult-form galactosialidosis:ocular findings in tree cases. Ophthalmologica 203:176-179, 1991
10)Usui T, Sawaguchi S, Abe H et al:Late-infantile type galactosialidosis:histopathology of the retina and optic nerve. Arch Ophthalmol 109:542-546, 1991
11)山下彩奈・長谷川榮一:ガラクトシアリドーシスⅡb型の1例.臨眼 56:585-588,2002
12)辻野奈緒子・田川義継:Galactosialidosisの2症例.臨眼 51:462-466,1997
13)臼井知聡:ガラクトシアリドーシス―眼所見.脳と神経 43:231-237,1991

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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