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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻8号

2008年08月発行

文献概要

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(6) 原著

角膜移植後ヘルペスウイルス感染による遷延性角膜上皮欠損を繰り返した1例

著者: 國重智之1 鈴木久晴1 小野眞史1 高橋永幸1 平岡美紀1 高橋浩1

所属機関: 1日本医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.1323 - P.1326

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要約 目的:遷延性角膜上皮欠損に対し複数回の全層角膜移植が行われ,最終的にヘルペスの治療で治癒した症例の報告。症例:78歳男性が,4年前の白内障手術後に生じた右眼の水疱性角膜症で受診した。矯正視力は右指数弁,左1.0であった。右眼に水疱性角膜症,角膜の上皮欠損と混濁があった。経過:全層角膜移植を行ったが移植片が融解し,4か月後に再移植が行われた。再び移植片が融解し,その2か月後に3回目の移植,さらにその5か月後に表層角膜移植が行われた。角膜上皮欠損に対する羊膜被覆術は奏効せず,羊膜が融解した。ヘルペス感染を疑い,初診から23か月後にアシクロビル点眼を開始し,4回目の角膜全層移植を行った。上皮欠損はなく,角膜は透明で,視力は0.05に回復した。結論:角膜全層移植に抵抗する遷延性角膜上皮欠損にはヘルペス感染が関与している可能性がある。

参考文献

1)小泉範子・島崎 潤・横井則彦:角膜移植後の非典型的な角膜ヘルペス.あたらしい眼科 22:765-777,2005
2)Tei M, Nishida K, Kinoshita S:Polymerase chain reaction detection of herpes simplex virus in tear fluid from a typical herpetic epithelial keratitis after penetrating keratoplasty. Am J Ophthalmol 122:732-735, 1996
3)横井則彦:マイボーム腺に関連した眼表面疾患.日本医事新報 4166:33-36,2004
4)鈴木正和・宇野敏彦・大橋祐一:眼局所免疫不全状態において経験した非定型的な上皮型角膜ヘルペスの3例.臨眼 57:137-141,2003
5)下村嘉一・森 康子・井上幸次・他:単純性ヘルペスウイルスの角膜内潜伏感染について.日眼会誌 94:731-735,1990
6)Robert PY, Adenis JP, Denis F et al:Herpes simplex virus DNA in corneal transplants:prospective study of 38 recipients. J Med Virol 71:69-74, 2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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