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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科62巻8号

2008年08月発行

文献概要

特集 第61回日本臨床眼科学会講演集(6) 原著

開放性眼外傷の統計学的観察

著者: ジェーンファン1 尾崎弘明1 右田博敬1 近藤寛之1 内尾英一1

所属機関: 1福岡大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1343 - P.1346

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要約 目的:鋭的外力による眼球裂傷の治療成績の報告。対象:過去6年間に治療し,3か月以上の経過を観察できた52例52眼を診療録に基づいて検索した。男性45例,女性7例で,年齢は5~72歳(平均40歳)であった。結果:外傷は穿孔45眼(87%),貫通7眼(13%),眼内異物22眼(39%)であった。損傷部位は,強角膜のみが25眼,水晶体に及ぶものが7眼,硝子体または網膜に及ぶものが20眼であった。最終視力は1.0以上が23眼(44%),0.5~0.9が9眼(17%),0.1~0.4が12眼(21%),0.09~手動弁が4眼(8%),光覚弁2眼(4%),光覚なしが2眼(4%)であった。術前因子として,視力が0.1未満,損傷が眼底に到達,網膜剝離,眼内炎がある例では,最終視力が有意に不良であった。結論:眼球裂傷の予後は比較的良好であるが,術前視力が0.1未満または損傷が後部眼底に及ぶ場合には視機能の回復が困難である。

参考文献

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9)石崎こずえ・小幡博人・牧野伸二・他:穿孔性眼外傷の統計.臨眼 60:967-969,2006
10)尾崎弘明・ファンジェーン・梅田尚靖・他:外傷性眼球破裂の治療成績.臨眼 61:1045-1048,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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