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連載 公開講座・炎症性眼疾患の診療・18
ヘルペス虹彩毛様体炎
著者: 北市伸義1 三浦淑恵1 大野重昭1
所属機関: 1北海道大学大学院医学研究科病態制御学専攻感覚器病学講座眼科学分野
ページ範囲:P.1430 - P.1435
文献購入ページに移動ヘルペス(herpes)の名はギリシア語のherpetosに由来する。Herpetosは蛇のように蛇行・匍行するという意味であるから,水疱が這うように広がる皮膚所見が語源と考えられる。その後,古代ギリシア語のhはラテン語に入ってsに変化したため,今日の英語のserpent(ヘビ),serpiginous(匍行性)などと語源は同一である。
ヘルペスウイルスはヘルペスウイルス科に属するDNAウイルスである。線状の二本鎖DNAをゲノムとしてもち,正20面体のカプシドがエンベロープに包まれた直径120~200nmの球状粒子形である。α・β・γの3つの亜科に分類され,その種類は約100種あるが,ヒトを宿主とするヒトヘルペスウイルス(human herpes virus:HHV)はHHV-1~8の8種類が知られている(表1)1)。
ヘルペスウイルス性虹彩毛様体炎は単純ヘルペス1型(herpes simplex virus 1:HSV-1,図1),単純ヘルペス2型(HSV-2),水痘・帯状疱疹ウイルス(varicella zoster virus:VZV)による虹彩毛様体炎であり,臨床的に次のように分類される。
1.HSV虹彩毛様体炎
1)角膜ヘルペスに併発するHSV虹彩毛様体炎
(i)上皮型角膜ヘルペスに併発したHSV虹彩毛様体炎
(ii)実質型角膜ヘルペスに併発したHSV虹彩毛様体炎(角膜ぶどう膜炎)
2)角膜ヘルペスに併発しないHSV虹彩毛様体炎
2.VZV虹彩毛様体炎
1)眼部帯状疱疹に併発したVZV虹彩毛様体炎
2)眼部帯状疱疹に併発しないVZV虹彩毛様体炎
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