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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科63巻1号

2009年01月発行

文献概要

臨床報告

高齢者における鈍的眼外傷の検討

著者: 相馬利香1 森田啓文1 久保田敏昭1 田原昭彦1

所属機関: 1産業医科大学眼科学教室

ページ範囲:P.93 - P.97

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要約 目的:高齢者の鈍的外傷による眼障害の報告。対象と方法:過去5年間に経験した鈍的外傷による60歳以上の眼障害28例28眼を検索した。男性13例,女性15例で,男性1例と女性13例の計14例には白内障手術の既往があり,男性12例と女性2例の計14例は有水晶体眼であった。結果:19例(68%)で転倒が受傷の原因であり,うち白内障術後眼が11眼,有水晶体眼が8眼を占めていた。眼球破裂が白内障術後眼では14眼中12眼(86%),有水晶体眼では14眼中4眼(29%)であった。最終視力は,白内障術後眼の9眼と有水晶体眼の3眼で0.1未満であった。眼球破裂の開放創は,白内障術後眼では全例で白内障手術の強角膜創に一致するか,術創が拡大する形をとった。結論:白内障手術の既往がある高齢者では,鈍的外傷で手術創が破裂または開放しやすく,視力予後が不良である。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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