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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科63巻10号

2009年10月発行

文献概要

連載 日常みる角膜疾患・79

角膜真菌症の検査法

著者: 守田裕希子1 近間泰一郎1 西田輝夫1

所属機関: 1山口大学大学院医学系研究科眼科学

ページ範囲:P.1578 - P.1581

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症例

 患者:13歳,男性

 主訴:右眼痛,両眼そう痒感

 既往歴:アトピー性皮膚炎

 家族歴:特記事項はない。

 現病歴:幼少時からアトピー性皮膚炎と診断されていた。2005年6月,右眼視力障害と両眼そう痒感のため近医を受診し,両眼とも春季カタルの治療を受けていたが,そう痒感の増悪と右眼の角膜上皮欠損拡大を認めたため,精査・加療目的で2006年3月30日に当院を紹介され受診した。抗アレルギー薬,ステロイドで加療を行い,上皮欠損は徐々に縮小していた。9月10日頃から右眼の眼痛が出現し,9月18日から眼脂が出現してきたため,9月21日に再受診した。

 再診時所見:視力は右0.08(矯正不能),左0.7(1.0),眼圧は右10mmHg,左14mmHgであった。右眼は辺縁不整の上皮欠損があり,融解傾向を認めた(図1)。中等度の毛様充血がみられたが,前房内炎症はなかった。角膜上皮擦過物の検鏡ではフェイバーG®染色(グラム染色)でグラム陽性球菌と酵母を含む菌体が確認され(図2),細菌培養検査からはCandida albicansとMSSA(methicillin-susceptible Staphylococcus aureus)が検出された。

 治療経過:検鏡所見からMSSAと酵母菌の混合感染の症例と考え,抗真菌薬と抗菌薬の全身および局所投与を行い,加療を開始した。治療開始から4週間後に感染は鎮静化した。

参考文献

1)Ishibashi Y, Hommura S, Matsumoto Y:Direct examination vs culture biopsy specimens for the diagnosis of keratomycosis. Am J Ophthalmol 103:636-640, 1987
2)原田大輔・近間泰一郎・山田直之・他:角膜感染症に対する直接塗抹顕微鏡検査の重要性の検討.臨眼 63:231-235,2009
3)江口 洋:感染性角膜炎を疑ったときの塗抹,検鏡,培養検査のコツを教えてください.あたらしい眼科 23(臨増):142-145,2006
4)感染性角膜炎診療ガイドライン作成委員会:感染性角膜炎診療ガイドライン.日眼会誌 111:771-809,2007
5)吉田眞一・柳 雄介・古開泰信:戸田新細菌学.改訂33版.南山堂,東京,2007
カンジダ上における各種糸状菌の集落性状.深在性真菌症:SFI Forum 4:33-35,2008
染色による塗抹検査が有用であった真菌性角膜潰瘍の3例.臨眼 59:1287-1291,2005
染色.あたらしい眼科 23:57-58,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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