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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科63巻10号

2009年10月発行

文献概要

特集 第62回日本臨床眼科学会講演集(8) 原著

画像検査で診断が困難であった視神経管骨折の1例

著者: 津村朋子1 井上千鶴1 徳川英樹1 西川憲清1 坂東勝美1 田中康夫1 新靖史2 森本哲也2

所属機関: 1大阪警察病院眼科 2大阪警察病院脳神経外科

ページ範囲:P.1617 - P.1621

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要約 目的:画像診断では確認できず,手術で視神経管骨折が発見された症例の報告。症例:33歳男性が自転車で走行中,右から来た自転車と衝突して頭部の右側を打撲し,右眼の視力低下を自覚して受診した。所見:矯正視力は右0.4,左1.5であり,右眼に下半分と上耳側の視野欠損があった。CTなどの画像検査で右中頭蓋窩に血腫,右眼窩底と右頰骨に骨折があり,視神経管骨折は同定されなかった。3日間のステロイドパルス療法を施行したが視力が0.2に低下した。脳神経外科で開頭手術を行い,右視神経管骨折が発見された。2か月後の現在,視野はやや拡大し,視力は0.3で,乳頭の蒼白化がある。結論:頭部外傷に続発した視神経症で,薬物療法によっても視力や視野が悪化するときには,画像診断の裏づけがなくても視神経管骨折がある可能性がある。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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