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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科63巻10号

2009年10月発行

文献概要

特集 第62回日本臨床眼科学会講演集(8) 原著

眼瞼蜂窩織炎の入院を契機に発見された自己免疫性好中球減少症の1例

著者: 有村夏来1 大井彩1 小早川信一郎1 鈴木佑佳1 三井一賢2 杤久保哲男1

所属機関: 1東邦大学医学部第一眼科学教室 2東邦大学医学部第一小児科

ページ範囲:P.1631 - P.1634

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要約 目的:眼瞼蜂窩織炎で入院して発見された自己免疫性好中球減少症の症例の報告。症例:2歳男児が3日前からの左眼の充血と眼瞼腫脹で入院した。満期産で正常分娩であった。所見:体温38.4℃で脈拍170回/分であり,全身に格別の異常所見はなかった。左眼瞼に発赤腫脹があり,眼窩と眼内に異常はなく,眼瞼蜂窩織炎と診断した。白血球2,900/μl,好中球9.0%,CRP 4.9mg/dlであった。経過:セフメタゾールの静注を開始した。第6病日に好中球が0%となった。骨髄穿刺では正常所見であり,第9病日に解熱し,眼瞼腫脹は寛解した。負荷試験で好中球遊走能は正常で,自己免疫性好中球減少症と診断した。好中球数は以後も低値であるが,経過は良好である。結論:小児の蜂窩織炎では,好中球減少が併発する可能性がある。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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