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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科63巻10号

2009年10月発行

文献概要

特集 第62回日本臨床眼科学会講演集(8) 原著

21年後に再発した原田病の1例

著者: 近藤美鈴1 中平麻美1 中茎敏明1 松下恵理子1 西野耕司1 福島敦樹1

所属機関: 1高知大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1641 - P.1645

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要約 目的:初発から21年後に再発した原田病の症例の報告。症例:33歳女性が7日前からの変視症と霧視で受診した。矯正視力は右0.1,左0.4で,両眼の後極部一帯に多発性漿液性網膜剝離があった。髄液に細胞過多はなかった。後眼部型の原田病と診断し,プレドニゾロン初回量200mgの静注で網膜剝離は消失し,以後の経過は良好であった。再発:21年後の54歳のとき,右眼に霧視を自覚し,7日後に受診した。矯正視力は右0.6,左1.0で,右眼に毛様充血,前房内細胞,Koeppe結節があり,肉芽腫性前部ぶどう膜炎の所見を呈した。両眼とも夕焼け状眼底で,網膜剝離や乳頭発赤はなかった。片眼性の原田病の再発と考え,ステロイド薬の点眼とテノン囊下注を行った。病変は治癒し,以後5か月後の現在まで経過は良好である。結論:いったん治癒した原田病が長期間後に再発することがある。本症例では両眼の後部ぶどう膜炎として発症し,21年後に片眼の前部ぶどう膜炎として再発した。

参考文献

1)湯浅武之助・春田恭照:原田病遷延例.眼紀 42:1028-1034,1991
2)岸 浩子・村尾多鶴・三嶋 弘:14年後に再発した原田病の1例.臨眼 51:1165-1168,1997
3)東芝孝彰・小出健郎・堀田喜裕・他:10年後に再発した原田病の1例.臨眼 58:1505-1508,2004
4)味木 幸・鈴木参郎助・角田和繁・他:12年後に再発したVogt-小柳-原田病の1例.臨眼 48:1751-1755,1994
5)福田充宏・多田 玲・安達恵美:13年後に再発し悪性リンパ腫を合併した原田病の1例.眼紀 50:316-320,1999
6)大野重昭:サルコイドーシスおよびVogt-小柳-原田病の臨床像とその治療.眼臨 76:1001-1008,1982
7)杉浦清治:Vogt-小柳-原田病.臨眼 33:411-424,1979
8)松浦岳司・田中孝男・坂井潤一・他:片眼性の原田病と思われる1例.眼臨 86:2445-2448,1992
9)北明大州・寺山亜希子・南場研一・他:Vogt-小柳-原田病新鮮例に対するステロイド大量療法とパルス療法の比較.臨眼 58:369-372,2004

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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