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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科63巻10号

2009年10月発行

文献概要

臨床報告

白内障手術の周術期における結膜囊内常在菌叢―フルオロキノロン点眼薬による減菌化と感受性変化

著者: 宮永将1 子島良平1 宮井尊史1 加賀谷文絵1 宮田和典1 大橋裕一2 浅利誠志3

所属機関: 1宮田眼科病院 2愛媛大学大学院感覚機能医学講座視機能外科学分野 3大阪大学医学部附属病院感染制御部

ページ範囲:P.1659 - P.1666

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要約 目的:白内障手術前後のフルオロキノロン系抗菌薬の継続点眼による結膜囊内細菌の数と感受性の変化の検討。方法:白内障手術を受けた92例152眼を対象とした。79眼には0.3%ガチフロキサシン点眼薬,73眼には0.5%レボフロキサシン点眼薬を手術の7日前から1日4回点眼し,術後は1日3回点眼した。点眼開始前と手術14日後に下眼瞼結膜囊からの擦過物を培養し,細菌を検査した。結果:点眼前の菌検出率はガチフロキサシン群では89.9%,レボフロキサシン群では82.2%であり,術後はそれぞれ32.9%と31.5%で,両群とも点眼により有意に減少した。レボフロキサシン群では点眼後にガチフロキサシンとレボフロキサシン耐性株が増加し,感受株が減少したが,ガチフロキサシン群では変化がなかった。結論:抗菌薬の継続点眼で菌検出率が減少した。ガチフロキサシンでは耐性誘導が起こりにくかった。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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