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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科63巻10号

2009年10月発行

文献概要

臨床報告

白内障術後に多発性網膜裂孔がみつかったWagner病の1家系

著者: 鈴木香1 鈴木幸彦1 中澤満1

所属機関: 1弘前大学大学院医学研究科眼科学

ページ範囲:P.1673 - P.1676

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要約 目的:白内障術後に多発性網膜裂孔が発見されたWagner病の1家系の報告。症例:43歳女性が両眼の視力低下で受診した。矯正視力は左右とも0.3で,強い核白内障があった。白内障手術で左右とも1.2の視力を得たが,両眼に赤道変性が多発していることが発見された。17歳の長男に両眼の網膜剝離の既往があり,11歳と13歳の娘に硝子体の液化と赤道変性があった。76歳の母親に強い核白内障があり,手術で右0.6,左0.9の視力を得た。右眼の赤道部に馬蹄形裂孔が多発し,左眼に赤道変性があった。以上より本家系はWagner病であると診断した。結論:比較的若年者で高度な核白内障があるときには,Wagner病の可能性がある。眼底病変の合併が多いことが診断に留意されるべきである。

参考文献

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2)白井正一郎:Stickler症候群.眼科診療プラクティス25(眼と全身病ガイド):261,1996
3)大久保彰:網膜硝子体.増田寛次郎(編):眼科学体系6B.小児と眼.141-148,中山書店,東京,1998
4)野田 徹・秋山健一:網膜剝離.増田寛次郎(編):眼科学体系6B.小児と眼.167-180,中山書店,東京,1998
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6)Seery CM, Pruett RC, Liberfarb RM et al:Distinctive cataract in the Stickler syndrome. Am J Ophthalmol 110:143-148, 1990
7)Emery JM, Little JH:Phacoemulsification and Aspiration of Cataract:Surgical techniques, complications, and results. 45-48, CV Mosby, St Louis, 1979
8)高谷 香・鈴木幸彦・中澤 満:Wagner病による網膜剝離に対し硝子体手術を施行した1症例.眼紀 56:894-900,2005

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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