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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科63巻11号

2009年10月発行

文献概要

コラム

炭酸脱水酵素阻害薬の内服は是か非か

著者: 松元俊1

所属機関: 1東京逓信病院眼科

ページ範囲:P.237 - P.237

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炭酸脱水酵素阻害薬内服の激減

 プロスト系プロスタグランジン点眼薬の出現以前は,β遮断薬,副交感神経刺激薬,交感神経刺激薬の3種の点眼薬を併用しても眼圧がコントロールできない場合は,炭酸脱水酵素阻害薬(carbonic anhydrase inhibitor:CAI)の内服を追加して初めて「最大許容薬物量(maximum tolerable dose)」といわれた。

 しかし,強力な眼圧下降効果をもつプロスト系プロスタグランジン点眼薬が使われるようになり,「点眼薬で眼圧コントロールができない場合は手術を選択する」という考え方が広がった。この考えをさらに後押したのが,マイトマイシンC併用線維柱帯切除術の導入による手術成績の向上である。マイトマイシンC併用線維柱帯切除術導入前は線維柱帯切除術で5年間眼圧をコントロールできる症例は6割程度であったが,導入後は8~9割にまで向上し手術適応が広がったため,炭酸脱水酵素阻害薬内服のステップを飛ばして手術を選択する場合が増えたのである。さらに1999年に炭酸脱水酵素阻害薬の点眼製剤であるドルゾラミドがわが国でも発売されたことも炭酸脱水酵素阻害内服薬の投与を減らす一因となった。このような環境のもと,炭酸脱水酵素阻害内服薬の使用頻度は激減したわけであるが,その存在意義までも失ってしまったのかというとそうではない。

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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