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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科63巻11号

2009年10月発行

特集 緑内障診療―グレーゾーンを越えて

Ⅱ.治療編 3.開放隅角緑内障 b.手術

《マイオピニオン》円蓋部切開 vs 輪部切開 おすすめはどちら?

著者: 吉冨健志1

所属機関: 1秋田大学大学院医学系研究科医学専攻病態制御医学系眼科学講座

ページ範囲:P.292 - P.293

文献概要

トレンドは輪部切開

 線維柱帯切除術の結膜切開方法は,円蓋部切開と輪部切開がある。円蓋部切開では術後に濾過胞感染が心配される無血管で薄い限局性の濾過胞ができやすい反面,輪部切開では有血管でびまん性の濾過胞ができやすいところから,最近のトレンドは輪部切開となっている。結膜切開による術後の眼圧レベルの違いについてはいくつかの施設から発表されているが,大きな差はないとされている。しかし円蓋部切開のほうが低い眼圧レベルを保てるとする報告もある。一方で濾過胞感染発生頻度は,ある程度の症例数が必要であるが,狩野1)の報告では輪部切開のほうが円蓋部切開より有意に濾過胞感染発生頻度が低いとされている。

 緑内障の手術全般にいえることではあるが,絶対的によい方法はない。線維柱帯切開術と線維柱帯切除術にしてもハイリスク・ハイリターンを選ぶか,ローリスク・ローリターンを選ぶかである。円蓋部切開と輪部切開も基本的にどちらのほうが優れているということではなく,メリットとデメリットがあると思う。円蓋部切開が濾過胞感染を起こしやすい無血管で限局性の濾過胞を形成しやすいことはかなり議論されている。これだけをみると円蓋部切開にメリットがないように思えるが,そうであろうか。

参考文献

1)狩野 廉:眼科インストラクションコース14.トラベクレクトミー完全マスター,52-54,メジカルビュー,東京,2008

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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