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特集 緑内障診療―グレーゾーンを越えて Ⅱ.治療編 4.閉塞隅角緑内障と原発閉塞隅角症
慢性閉塞隅角緑内障の治療
著者: 溝上志朗1
所属機関: 1愛媛大学大学院医学研究科感覚機能医学講座視機能外科学分野
ページ範囲:P.336 - P.340
文献購入ページに移動はじめに
日本緑内障学会が2006年に制定した緑内障診療ガイドラインによると,慢性閉塞隅角緑内障(chronic angle-closure glaucoma:CACG)とは,「原発閉塞隅角緑内障のうち,急性型の自他覚症状並びに既往の認められない症例」とされ,基本的に「浅前房で,狭隅角ないし閉塞隅角である以外は,原発開放隅角緑内障に似た自他覚所見を示す」と定義されている1)。また慢性閉塞隅角緑内障の主たる隅角閉塞機序としては,相対的瞳孔ブロック,プラトー虹彩,および虹彩水晶体隔膜の前方移動の3つのメカニズムが想定されており,さらに最近では,虹彩水晶体隔膜の前方移動の原因として慢性毛様体ブロックによるメカニズムの存在も示唆されている2)。
多くの場合,これらのメカニズムは単独ではなく,複合的に作用するとされ,慢性閉塞隅角緑内障の治療方針としては,病態の正確な診断と原因治療をめざすことが重要である(図1)。本項では慢性閉塞隅角緑内障の各病態に対する基本的な治療戦略について概説する。
日本緑内障学会が2006年に制定した緑内障診療ガイドラインによると,慢性閉塞隅角緑内障(chronic angle-closure glaucoma:CACG)とは,「原発閉塞隅角緑内障のうち,急性型の自他覚症状並びに既往の認められない症例」とされ,基本的に「浅前房で,狭隅角ないし閉塞隅角である以外は,原発開放隅角緑内障に似た自他覚所見を示す」と定義されている1)。また慢性閉塞隅角緑内障の主たる隅角閉塞機序としては,相対的瞳孔ブロック,プラトー虹彩,および虹彩水晶体隔膜の前方移動の3つのメカニズムが想定されており,さらに最近では,虹彩水晶体隔膜の前方移動の原因として慢性毛様体ブロックによるメカニズムの存在も示唆されている2)。
多くの場合,これらのメカニズムは単独ではなく,複合的に作用するとされ,慢性閉塞隅角緑内障の治療方針としては,病態の正確な診断と原因治療をめざすことが重要である(図1)。本項では慢性閉塞隅角緑内障の各病態に対する基本的な治療戦略について概説する。
参考文献
1)日本緑内障学会:緑内障診療ガイドライン(第2版).日眼会誌 110:777-814,2006
2)Quigley HA, Friedman DS, Congdon NG:Possible mechanisms of primary angle-closure and malignant glaucoma. J Glaucoma 12:167-180, 2003
3)Shimazaki J, Uchino Y, Tsubota K:Late irreversible corneal oedema after laser iridotomy. Br J Ophthalmol 93:125-126, 2009
4)Shimazaki J, Amano S, Uno T et al:National survey on bullous keratopathy in Japan. Cornea 26:274-278, 2007
5)山本康明・大橋裕一:レーザー虹彩切開術による水疱性角膜症.あたらしい眼科 26:173-178,2009
6)須田生英子・福地健郎:真性小眼球症の治療.臨眼 56(増):245-248,2002
7)Sakai H, Morine-Shinjo S, Shinzato M et al:Uveal effusion in primary angle-closure glaucoma. Ophthalmology 112:413-419, 2005
8)Tanihara H, Nishiwaki K, Nagata M:Surgical results and complications of goniosynechialysis. Graefes Arch Clin Exp Ophthalmol 230:309-313, 1992
9)Teekhasaenee C, Ritch R:Combined phacoemulsification and goniosynechialysis for uncontrolled chronic angle-closure glaucoma after acute angle-closure glaucoma. Ophthalmology 106:669-674, 1999
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