icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科63巻2号

2009年02月発行

文献概要

臨床報告

角膜感染症に対する直接塗抹顕微鏡検査の重要性の検討

著者: 原田大輔1 近間泰一郎2 山田直之1 能美典正1 川本晃司1 西田輝夫1

所属機関: 1山口大学大学院医学系研究科眼科学 2山口大学医学部眼病態学講座

ページ範囲:P.231 - P.235

文献購入ページに移動
要約 目的:角膜感染症での塗抹物鏡検の結果の報告と評価。対象:過去2年間に入院して加療した重症角膜感染症44例46眼を対象とした。男性28眼,女性18眼で,平均年齢は49.2±24.7歳である。塗抹物の鏡検と培養結果を比較した。結果:塗抹の鏡検では32眼中19眼(59%),培養では44眼中26眼(59%)で陽性であった。両検査を同時に行った32眼では,両検査ともに陽性が14眼,陰性が9眼で,計23眼(72%)で結果が一致した。陽性となった病原微生物では,塗抹の鏡検では真菌が7眼(22%),培養では細菌が11眼(34%)と頻度が最も高かった。結論:角膜感染症では塗抹の鏡検と培養は相補的な関係にある。塗抹の直接鏡検では短時間で病原微生物の有無が判定でき,培養検査と同時に行うことで,早期の診断と治療が可能になる。

参考文献

1)白根授美・福田昌彦・宮本裕子・他:近畿大学眼科におけるコンタクトレンズによる細菌性角膜潰瘍.日コレ誌 43:57-60,2001
2)竹澤美貴子・小幡博人・中野佳希・他:自治医科大学における過去5年間の感染性角膜潰瘍の検討.眼紀 56:494-497,2005
3)中林 條・美川優子・沖波 聡:佐賀医科大学における最近10年間の感染性角膜潰瘍の検討.眼紀 53:368-372,2002
4)感染性角膜炎全国サーベイランス・スタディグループ:感染症角膜炎全国サーベイランス.分離菌・患者背景・治療の現況.日眼会誌 110:961-972,2006
5)Ishibashi Y, Hommura S, Matsumoto Y:Direct examination vs culture biopsy specimens for the diagnosis of keratomycosis. Am J Ophthalmol 103:636-640, 1987
6)小幡博人・青木由紀・久保田みゆき・他:ディフ・クイック染色による塗抹検査が有用であった真菌性角膜潰瘍の3例.臨眼 59:1287-1291,2005
7)久高久美子・松本光希・高橋枝里・他:角膜擦過,鏡検にて診断に至ったアカントアメーバ角膜炎の1例.眼紀 57:54-57,2006
8)稲垣香代子・外園千恵・佐野洋一郎・他:眼科領域におけるMRSA検出動向と臨床経過.あたらしい眼科 20:1129-1132,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up

本サービスは医療関係者に向けた情報提供を目的としております。
一般の方に対する情報提供を目的としたものではない事をご了承ください。
また,本サービスのご利用にあたっては,利用規約およびプライバシーポリシーへの同意が必要です。

※本サービスを使わずにご契約中の電子商品をご利用したい場合はこちら