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連載 日常みる角膜疾患・72
アレルギー性結膜炎
著者: 近藤由樹子1 西田輝夫1
所属機関: 1山口大学大学院医学系研究科情報解析医学系学域眼科学分野
ページ範囲:P.270 - P.272
文献購入ページに移動患者:31歳,女性
主訴:両眼の瘙痒感
現病歴:10年ほど前から慢性的な眼瘙痒感と時に異物感・眼痛があり,前医でアレルギー性結膜炎と診断された。クロモグリク酸ナトリウム点眼による治療を受けたが改善せず,当院を受診した。
既往歴:前医で皮膚テストを行ったところ,ハウスダストに陽性反応があった。花粉症やコンタクトレンズ装用歴はなく,アトピー性皮膚炎はなかった。
家族歴・生活歴:特記すべきことはない。
初診時所見:視力は右1.2(1.5),左1.0(1.2)で,眼圧は右12mmHg,左12mmHg(非接触型眼圧計)であった。細隙灯顕微鏡検査では,両眼の角膜は透明・平滑で上皮障害はなく,前房内に炎症はなかった。眼球結膜に充血はなく,眼瞼結膜に軽度の充血と浮腫,結膜乳頭を認めた(図1)。中間透光体および眼底には明らかな異常はなかった。
経過:慢性的な眼瘙痒感と眼瞼結膜の充血・浮腫,結膜乳頭を認め,皮膚テストでハウスダストに陽性反応があったことから,臨床的に通年性アレルギー性結膜炎と診断した。0.1%フルオロメトロンとフマル酸ケトチフェン点眼による治療を開始した。経過中に十分な症状の改善が得られず,フマル酸ケトチフェン点眼をオロパタジン塩酸塩点眼に変更し,0.1%フルオロメトロン点眼と併用した。次第に眼瘙痒感は軽快し,結膜充血も改善を認め,0.1%フルオロメトロン点眼は中止し,オロパタジン塩酸塩点眼のみを継続した。
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