今月の表紙
円錐角膜
著者:
鶴留康弘1
西田輝夫2
所属機関:
1明和病院眼科
2山口大学眼科
ページ範囲:P.637 - P.637
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症例は30歳,男性。2006年5月に左眼の円錐角膜の精査および治療のため,大阪大学眼科に紹介され受診した。初診時の左眼視力は0.01(0.4)であった。細隙灯顕微鏡のブルーフィルタ下でFleischerリングを認めたが,急性水腫はきたしていなかった。ペンタカム®の結果を示す(a)。高さデータから角膜前面,後面ともに下方の突出を認めた。曲率半径は広範囲に急峻化し,角膜頂点は瞳孔から下方にずれていた。角膜厚は角膜中央から下方にかけて菲薄化し,角膜頂点のやや下方が最も薄く182μmであった。ビサンテTM OCTでの角膜断層像も,ペンタカム®の所見に一致した角膜の菲薄化と突出を認めた(b)。ハードコンタクトレンズを装用して経過観察していたものの装用が困難となり,2008年10月に全層角膜移植術を施行した。
移植後5か月が経つが経過は順調で,左眼視力は(1.0)に向上した。写真cは,TOPCON SL-D7+写真撮影装置SL-P T54Nを用い,スリット幅1~2mm,長さ14mm,背景照明ON,絞り9に設定した。患者の顔を60°ほど右に傾け,視軸方向からスリットを当て,耳側から撮影した。自然な眼の様子になるようにスリット光を見えない位置にやや偏心させた。また絞りを開放し,睫毛や球結膜などの背景をぼかすことで,より急峻に突出した角膜を写し出すことができた。