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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科63巻5号

2009年05月発行

文献概要

特集 第62回日本臨床眼科学会講演集(3) 原著

日本人角膜鉄線の形と分布にみる角膜鉄線発生機序の細隙灯顕微鏡写真による研究

著者: 松原稔1

所属機関: 1松原眼科医院

ページ範囲:P.725 - P.730

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要約 目的:細隙灯顕微鏡写真に基づいた角膜鉄線の発症機序の検討。対象と方法:外来患者5,342名を対象とした。角膜を細隙灯顕微鏡に装着したビデオで記録し,印画紙に焼き付けて鉄線の形と分布を検索した。結果:鉄線の両側と両端に表層細胞からの表面反射がない透明域があった。この透明域は鉄線がない角膜でも観察された。透明域は表層細胞表面の絨毛が多い細胞群であると推定した。鉄線と透明域の分布は渦状角膜の形と一致した。角膜片雲周辺の透明域の形は,水流が障害物の間で淀んだり流れを変えたりする形に類似した。鉄線と透明域には渦があり,渦の中心部と鉄線と透明域の交差部で鉄線が太くなった。結論:角膜鉄線では,基底細胞の移動と分化の速度変化がその発症に関与する可能性がある。

参考文献

1)松原 稔:日本人の角膜鉄線発生率.臨眼 61:853-858,2007
2)松原 稔:日本人角膜鉄線の形と分布―動画を応用した角膜鉄線撮影法.臨眼 62:517-522,2008
3)Thoft RA, Friend J:The x,y,z hypothesis of corneal epithelial maintenance(letter). Invest Ophthalmol Vis Sci 24:1442-1443, 1983
4)Bron AJ:Vortex patterns of the corneal epithelium. Trans Ophthalmol Soc UK 93:455-472, 1973
5)千葉桂三:スペキュラーマイクロスコープによる角膜上皮の観察.あたらしい眼科 6:1607-1617,1989
6)松原 稔:角膜錆輪を覆う上皮にみられる細胞死(アポトーシスとネクローシス).日眼会誌 112:898,2008
7)Vogt A:Textbook and Atlas of Slit Lamp Microscopy of the Living Eye. vol1. 41-90, Wayenborgh, Bonn, 1981
8)Rose GE, Lavin MJ:The Hudson-Stähli line. Ⅰ. An epidemiological study. Eye 1:466-470, 1987

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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