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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科63巻5号

2009年05月発行

文献概要

特集 第62回日本臨床眼科学会講演集(3) 原著

最近20年間における未熟児網膜症の発症率と治療率の検討

著者: 樋口明宏1 矢部文顕1 加畑隆通1 小平奈利2 毛利陽子3 新井順一3 宮本泰行3

所属機関: 1水戸済生会総合病院眼科 2東芝病院眼科 3茨城県立こども病院新生児科

ページ範囲:P.731 - P.735

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要約 目的:未熟児網膜症の発症率と治療率の,過去20年間の変遷の報告。対象と方法:1988~2007年に眼科的に検索した極低体重児960例を調査した。1996年までを前期,1997年以後を後期とした。結果:全例が出生体重1,500g以下で,403例が1,000g未満の超低出生体重児であった。未熟児網膜症の発症率は,前期では454例中250例(55.1%),後期では506例中204例(40.3%)であり,後期で有意に低かった(p<0.05)。治療率は,前期16.8%,後期26.1%であった。超低体重児では,発症率が前期85.4%,後期64.2%であり,治療率は前期20.9%,後期34.9%であった。結論:未熟児網膜症の発症率は,1996年以前よりも1997年以後で低かった。治療を必要とした症例は,超低体重児と在胎週数28週未満児で前期よりも後期で多かった。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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