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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科63巻5号

2009年05月発行

文献概要

特集 第62回日本臨床眼科学会講演集(3) 原著

一過性に糖尿病網膜症の悪化を認めた1例

著者: 徳川英樹1 西川憲清1 坂東勝美1 津村朋子1 田中康夫1

所属機関: 1大阪警察病院眼科

ページ範囲:P.743 - P.747

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要約 目的:急激に眼底所見が変化した糖尿病網膜症の症例の報告。症例:64歳男性が交通外傷を機に糖尿病が発見され,その翌日に眼科を受診した。矯正視力は右0.9,左0.7で,眼底に軟性白斑と,線状としみ状出血があった。血圧は136/76mmHg, HbA1cは8.5%であった。1か月後の再診で出血斑と軟性白斑がやや増加し,2か月後にはさらに増加した。血液検査で糖尿病の状態に大きな変化はなく,初診時から赤血球267万/μl,ヘモグロビン8.5g/dl,ヘマトクリット値26.9%の貧血があったことが判明した。4か月後から貧血の回復とともに眼底出血と白斑は減少した。結論:糖尿病網膜症が急激に悪化する場合には,貧血が原因として存在する可能性がある。

参考文献

1)岸川秀樹・玉真祐美・副島弘文・他:糖尿病網膜症発症,進展における血糖コントロールの意義.あたらしい眼科 18:583-588,2001
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3)Brown GC, Brown MM, Hiller T et al:Cotton-wool spots. Retina 5:206-214, 1985
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9)三ヶ尻健一・西川憲清:眼底所見から貧血が疑われた糖尿病患者の2症例.眼紀 58:698-702,2007
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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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