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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科63巻5号

2009年05月発行

文献概要

特集 第62回日本臨床眼科学会講演集(3) 原著

両眼球摘出に至った頭蓋底脊索腫の1例

著者: 長田佐智子1 吉田紀子1 村田敏規1 酒井圭一2

所属機関: 1信州大学医学部眼科学教室 2信州大学医学部脳神経外科

ページ範囲:P.757 - P.761

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要約 目的:頭蓋底脊索腫が発症し,複数回の摘出を行ったのち,両眼の眼球摘出を必要とした1例の報告。症例:49歳男性が脊索腫の精査のため紹介され受診した。3年前から鼻閉感と左眼視力の低下があり,頭蓋内腫瘍が発見され,脊索腫の診断が確定した。2度の腫瘍の亜全摘が行われた。所見と経過:矯正視力は右1.2,左0.02で,左眼に視神経萎縮と中心暗点があった。以後6年間に13回の腫瘍摘出が行われた。初診の3年後から右眼窩内に腫瘍が拡大し,その3年後に左眼突出が生じた。初診から6年後に15回目の腫瘍摘出が行われ,その2か月後に両眼とも光覚弁が消失した。角膜障害と疼痛があり,さらに眼球周囲の腫瘍摘出が必要であることを考慮し,両眼の眼球摘出が実施された。結論:頭蓋底の脊索腫が眼窩に伸展し,眼球摘出が必要になった稀有な症例である。

参考文献

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6)秋山隆志・清澤源弘・山田一郎・他:海綿静脈洞症候群を呈した脊索腫の1例.眼紀 48:793-796,1997
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9)Bagan SM, Hollenhorst RW:Ocular manifestations of intracranial chordomas. Trans Am Ophthalmol Soc 78:148-166, 1980

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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