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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科63巻5号

2009年05月発行

文献概要

特集 第62回日本臨床眼科学会講演集(3) 原著

点眼治療のみで軽快した壊死性強膜炎の1例

著者: 河野真穂1 西田朋美1 稲森由美子1 神尾美香子1 湯田健太郎2 野村英一2 水木信久2

所属機関: 1聖隷横浜病院眼科 2横浜市立大学大学院医学研究科視覚器病態学

ページ範囲:P.775 - P.779

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要約 目的:点眼治療のみで軽快した壊死性強膜炎の症例の報告。症例:79歳男性が左眼の眼脂と充血で受診した。15年前から関節リウマチで加療中であり,前日から汎血球減少を伴う熱発と皮疹があった。所見:左眼の鼻側上方で強膜が菲薄・融解し,ぶどう膜が透見され,壊死性強膜炎と診断した。全身状態から副腎皮質ステロイドや免疫抑制薬の全身投与が不可能であり,ベタメタゾンと2%シクロスポリンの点眼を中心に治療を行った。治療開始から3週間後に強膜と結膜の炎症が鎮静化した。結論:全身的な理由から副腎皮質ステロイドの全身投与ができない壊死性強膜炎では,ベタメタゾンやシクロスポリンの点眼のみで軽快する症例がある。

参考文献

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3)山田佑美・大原國俊・上玉麻子・他:シクロホスファミド内服を試みた壊死性強膜炎2例.臨眼 59:345-348,2005
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10)黒坂裕代・村木康秀・鈴木参郎助:慶應義塾大学眼科における強膜炎106例の検討.眼紀 45:797-803,1994
11)本田孔士:強膜の変性.丸尾敏夫・本田孔士・臼井正彦・他(編):眼科学.121-127,文光社,東京,2002

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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