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連載 日常みる角膜疾患・75
角膜移植後の問題点―(1)拒絶反応
著者: 山田直之1 近間泰一郎2 西田輝夫1
所属機関: 1山口大学大学院医学系研究科眼科学 2山口大学医学部眼病態学講座
ページ範囲:P.848 - P.851
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患者:63歳,女性
主訴:左眼の霧視感
現病歴:当院で46歳時に左眼Peters異常の診断で全層角膜移植術,60歳時に左眼移植片不全の診断で再移植を行っている。
視力は右1.0(1.5),左0.8(矯正不能)であった。左眼は移植片中央部を中心に軽度の角膜実質浮腫,角膜後面沈着物(keratic precipitates),角膜中央部から5時方向にかけて拒絶反応線(Khodadoust線)を認めた(図1a,b)。また,前房内炎症細胞,毛様充血を軽度認めた。角膜厚はパキメーターで右524μm,左611μmであり,左眼の角膜厚の増大を認めた。
移植片の浮腫,角膜後面沈着物,Khodadoust線,前房内炎症,毛様充血から拒絶反応と判断し,入院のうえステロイド点滴静注およびステロイド局所投与により加療した。発症から約3週間の時点で視力は左1.0(矯正不能)まで回復した。角膜厚はパキメーターで右527μm,左535μmと左眼の角膜厚はほぼ正常化し,左右差もなくなった。Khodadoust線の移動もみられず,角膜後面沈着物も軽減した(図1c)。
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