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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科63巻6号

2009年06月発行

文献概要

特集 第62回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著

白内障術後眼内炎症例の治療予後

著者: 八幡健児1 春木智子2 伊藤久太朗1

所属機関: 1鳥取県立中央病院眼科 2鳥取大学医学部視覚病態学

ページ範囲:P.981 - P.985

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要約 目的:白内障手術後に発症した眼内炎の治療成績と,患者対加療者間の関係の報告。対象と方法:過去11年間に治療した術後眼内炎9例9眼を検索した。治療後の患者の満足度はアンケートで調査した。結果:白内障手術から眼内炎発症までの間隔は,7日以内が5例,7日から1か月以内が1例,それ以上が3例であった。全例に眼内レンズ摘出と硝子体切除が行われた。眼内炎から手術までの期間は,3日以内が6例,2週間以上が3例であり,亜急性ないし遅発性の症例で手術までの期間が長かった。早期に手術と抗菌薬の硝子体内注入が行われた症例では視力転機が良好であった。治療後に患者と加療者との間にトラブルが起こった例はなく,患者側の反応は特に批判的ではなかった。結論:白内障手術後に生じた眼内炎では,亜急性または遅発性の症例で手術加療の時期を逸し,最終結果が不良になった例があった。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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