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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科63巻6号

2009年06月発行

文献概要

特集 第62回日本臨床眼科学会講演集(4) 原著

胸腺腫の経過観察中に夕焼け状眼底を呈した1例

著者: 岡本紀夫1 大出健太1 上田美子1 足立和己2 松田育雄3 廣田誠一3 三村治1

所属機関: 1兵庫医科大学眼科学教室 2足立眼科クリニック 3兵庫医科大学病院病理部

ページ範囲:P.991 - P.995

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要約 目的:胸腺腫の治療中に夕焼け状眼底が生じた症例の報告。症例:56歳女性が視力低下で受診した。10年前に重症筋無力症を伴う胸腺腫と診断され,胸腺摘出と化学療法が行われた。2年前に胸腺腫が再発し,シクロスポリンとプレドニゾロン投与を開始した翌日に全身の脱毛と皮膚の脱色素が生じた。その3か月後には眼底は正常であったが,さらに7か月後に両眼が夕焼け状眼底になった。所見:視力は右1.2,左1.0であり,両眼に夕焼け状眼底と黄斑変性があった。光干渉断層計で中心窩の網膜色素上皮に高反射があった。以後16か月の経過中,周辺から眼底中央部に向かう色素沈着が生じた。剖検で脈絡膜のメラノサイト脱落はなかった。結論:本症例の夕焼け状眼底は,原疾患または長期の薬剤投与で生じたメラノサイトに対する自己免疫による可能性がある。

参考文献

1)園田康平:Vogt-小柳-原田病.眼科 49:1149-1153,2007
2)Read RW, Holland GN, Rao NA et al:Revised diagnostic criteria for Vogt-Koyanagi-Harada disease:report of an international committee on nomenclature. Am J Ophthalmol 131:647-652, 2001
3)Ohno S, Minakawa R, Matsuda H:Clinical studies of Vogt-Koyanagi-Harada's disease. Jpn J Ophthalmol 32:334-343, 1988
4)Jovic NS, Nesovic M, Vranjesevic DN et al:The Vogt-Koyanagi-Harada syndrome:association with autoimmune polyglandular syndrome type 1. Postgrad Med J 72:495-497, 1996
5)浅野宏規・平岡孝浩・早乙女俊一・他:重症筋無力症を合併し非典型的な前駆症状で発症した原田病の1例.あたらしい眼科 22:1295-1298,2005
6)江頭完治・山本辰紀・辻 貞俊・他:Vogt-小柳-原田病を先駆とし慢性関節リウマチを合併した重症筋無力症の1例.臨床神経学 27:859-861,1987
7)井街 譲・奥沢 巌・井上晃一・他:原田病における組織学的検索.眼紀 25:703-708,1974
8)重篤副作用疾患別対応マニュアル:無顆粒球症(顆粒球減少症,好中球減少症).厚生労働省,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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