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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科63巻7号

2009年07月発行

文献概要

特集 第62回日本臨床眼科学会講演集(5) 原著

脈絡膜結核腫の僚眼に発症した結核性脈絡膜炎

著者: 長島弘明1 田口千香子1 浦野哲1 河原澄枝1 山川良治1 疋田直文2

所属機関: 1久留米大学医学部眼科学教室 2疋田眼科医院

ページ範囲:P.1187 - P.1191

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要約 目的:脈絡膜結核腫が片眼に生じ,その10年後に結核性脈絡膜炎が僚眼に発症した症例の報告。症例:70歳女性が1か月前からの左眼霧視で受診した。10年前に脈絡膜黒色腫が疑われ,右眼摘出を受けたが,病理学的検査で脈絡膜結核腫であった。所見:左眼矯正視力は0.6で,眼底後極部に白色斑が散在していた。白色斑は10日後に急増した。既往歴から結核性脈絡膜炎を疑い,4剤併用による抗結核治療を開始した。ツベルクリン反応は強陽性で,腋窩リンパ節の生検で結核性リンパ腺炎と診断した。治療開始から3週間後に後極部に漿液性網膜剝離が生じた。副腎皮質ステロイドの全身投与を行い,4か月後に網膜剝離は消退し,視力は1.0に回復した。結論:脈絡膜結核腫の既往がある症例の僚眼に脈絡膜炎が発症した。抗結核薬とステロイドの全身投与で治癒した。

参考文献

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11)Rosen PH, Spalton DJ, Graham EM:Intraocular tuberculosis. Eye 4:486-492, 1990

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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