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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科63巻8号

2009年08月発行

文献概要

特集 第62回日本臨床眼科学会講演集(6) 原著

輪状締結術と毛様体冷凍凝固術が奏効した外傷性低眼圧黄斑症の1例

著者: 柴田朋宏1 渡辺朗1 高階博嗣1 月花環1 常岡寛1

所属機関: 1東京慈恵会医科大学眼科学講座

ページ範囲:P.1313 - P.1316

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要約 目的:輪状締結術と毛様体冷凍凝固術で回復した外傷性低眼圧黄斑症の症例の報告。症例:30歳男性が水球の試合中に相手の指が右眼に当たった。直後からの眼痛と霧視で受診した。所見:矯正視力は右0.06,左1.0,眼圧は右6mmHg,左16mmHgであった。右眼に前房出血と網膜振盪症があった。ステロイドの点眼と内服後も低眼圧が持続し,受傷52日後に毛様体を冷凍凝固し,シリコーンスポンジを強膜に縫着した。その6日後に視力は0.9になり,毛様体解離が改善し,9か月後の現在1.5の視力と眼圧16mmHgを維持している。結論:黄斑症を伴う外傷性低眼圧に対し,毛様体冷凍凝固と輪状締結術が有効であった。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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