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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科63巻8号

2009年08月発行

文献概要

特集 第62回日本臨床眼科学会講演集(6) 原著

ベバシズマブの硝子体内注射とトリアムシノロンアセトニドのテノン囊下注射を併用し硝子体手術を早期に行った若年性糖尿病網膜症の1例

著者: 遠藤和人1 三上武則2 鈴木仁美1 佐伯宏三1

所属機関: 1佐伯眼科クリニック 2横浜市立大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1317 - P.1320

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要約 目的:糖尿病網膜症に対しベバシズマブの硝子体注入,トリアムシノロンアセトニドのテノン囊下注射,硝子体手術を早期に行った若年例の報告。症例:1年前に糖尿病と診断された31歳男性が2週間前からの視力低下で受診した。所見:矯正視力は右0.4,左0.7で,両眼に囊胞様浮腫を伴う糖尿病網膜症があった。汎網膜光凝固が奏効せず,初診の6週間後に右眼,その1週間後に左眼に硝子体手術を行い,術中にトリアムシノロンアセトニドのテノン囊下注射とベバシズマブの硝子体注射をした。黄斑浮腫は軽快し,手術1年後の現在,視力は左右とも1.2を維持している。結論:囊胞様黄斑浮腫を伴う糖尿病網膜症に対する硝子体手術,ベバシズマブの硝子体注入,トリアムシノロンアセトニドのテノン囊下注射による同時治療は有効であった。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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