icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科63巻8号

2009年08月発行

文献概要

特集 第62回日本臨床眼科学会講演集(6) 原著

梅毒感染が原因と考えられた視神経網脈絡膜炎の1例

著者: 西内貴史1 中茎敏明1 松下恵理子1 西野耕司1 岸茂1 福島敦樹1

所属機関: 1高知大学医学部眼科学教室

ページ範囲:P.1347 - P.1351

文献購入ページに移動
要約 目的:梅毒性と推定される視神経網脈絡膜炎の症例の報告。症例:55歳男性が9日前からの右眼,4日前からの左眼視力低下で受診した。矯正視力は右0.02,左0.1で,中心暗点があった。両眼に乳頭の発赤,腫脹と後極部網膜の混濁があった。梅毒血清反応が陽性で,TPHA法で20,480倍の高値であった。ステロイドを併用したアモキシシリンによる駆梅療法で,10日後に網膜混濁が消失し,6週間後に中心暗点がなくなり,3か月後に左右眼とも視力が1.2に回復した。初診から6か月後の現在まで再発はない。結論:本症例の視神経網脈絡膜炎は,梅毒血清反応が強陽性で駆梅療法に反応したことから梅毒性であり,免疫反応に伴う炎症が関与した可能性がある。

参考文献

1)Folk JC, Weingeist TA, Corbett JJ et al:Syphilitic neuroretinitis. Am J Ophthalmol 95:480-486, 1983
2)Gass JDM, Braunstein RA, Chenoweth RG:Acute syphilitic posterior placoid chorioretinitis. Ophthalmology 97:1288-1297, 1990
3)川野庸一:感染性ぶどう膜炎への実践的対応―細菌性網脈絡膜炎.眼紀 54:702-705,2003
4)堀内知光:梅毒によるぶどう膜炎.増田寛次郎・宇山昌延・臼井正彦・他(編):ぶどう膜炎.175-181,医学書院,東京,1999
5)大下雅世・後藤 浩・柏瀬光寿・他:硝子体手術を行なった梅毒性ぶどう膜炎の1症例.眼臨 92:725-729,1998
6)加藤有子・後藤 浩・大下雅世・他:硝子体手術を行った梅毒性ぶどう膜炎の2症例.眼紀 51:554-558,2000
7)中山亜紀・高橋康子・大島隆志・他:梅毒性網脈絡膜炎の4例.眼紀 43:991-997,1992
8)新井根一・滝 昌弘・稲葉浩子・他:視神経網膜炎で発見された2期梅毒の1例.臨眼 61:197-201,2007
9)玉置泰裕・天野史郎・沼賀二郎・他:梅毒性視神経網脈絡膜炎の2例.臨眼 45:113-117,1991
10)坂中 進・高綱陽子・佐藤晴彦・他:梅毒性視神経網脈絡膜炎の1例.眼臨 89:379-381,1995
11)井坂美也子・広瀬裕子・戸塚清一・他:梅毒性視神経網脈絡膜炎の2例.眼臨 90:277-280,1996
12)古川貴子・橋本禎子・八子恵子・他:梅毒性髄膜炎に伴う視神経炎と思われる1例.臨眼 55:477-480,2001
13)大里和久:梅毒.日本臨牀 61(増刊2):542-546,2003

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?