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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科63巻8号

2009年08月発行

文献概要

特集 第62回日本臨床眼科学会講演集(6) 原著

初診から48年後に診断された壊死性ヘルペス性網膜症の1例

著者: 福田泰子1 高瀬博1 菅本良治1 杉田直1 望月學1

所属機関: 1東京医科歯科大学大学院医歯学総合研究科眼科学分野

ページ範囲:P.1353 - P.1357

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要約 目的:発症から48年後に診断が確定した壊死性ヘルペス性網膜症の報告。症例:58歳男性が左眼の霧視で受診した。39年前に左眼,その2年後に右眼にぶどう膜炎が発症し,右眼は網膜剝離で失明した。20年前に左眼が眼トキソプラズマ症と診断され,加療中であった。所見と経過:矯正視力は右光覚なし,左0.7であった。硝子体混濁と網脈絡膜炎が左眼にあり,眼トキソプラズマの再燃と診断した。3年後に網膜剝離が発症し,手術で復位した。その5年後に網膜剝離が再発し,硝子体手術を行った。硝子体から単純ヘルペスウイルス(HSV-2)遺伝子が検出され,壊死性ヘルペス性網膜症の診断が確定した。パラシクロビルの内服で炎症は寛解した。結論:両眼性ぶどう膜炎ではウイルス性網膜症の可能性があり,眼内液の生検が診断に有用である。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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