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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科63巻9号

2009年09月発行

特集 第62回日本臨床眼科学会講演集(7)

原著

ロービジョンケアの初期対応が困難であった1例

著者: 高林雅子1 岩田文乃12 村上晶1

所属機関: 1順天堂大学医学部眼科学教室 2秋山眼科医院

ページ範囲:P.1451 - P.1455

文献概要

要約 目的:発言が少なく,コミュニケーションをとりにくいため,視覚障害への初期対応が不十分であった症例の報告。症例:20歳代の男性が網膜変性の診断で紹介され受診した。矯正視力は両眼とも1.2で,夜盲を自覚し,輪状暗点があり,身体障害者手帳の第5級に相当した。2か月に1回の来院時に,職業選択を含めた生活指導をすることにした。経過:当初は自発的な発言が少なく,生活状況の把握が困難であった。初診の6か月後から発言が多くなり,将来の職業について考え,病変が進行することへの不安を語るようになった。これによりロービジョンケアの目標設定が可能になり,生活課題を分析できるようになった。結論:発言が少ない視覚障害者であっても,初期対応として十分なコミュニケーションをもつことで,自発的に生活問題を明確化することが望まれる。

参考文献

1)高林雅子:中途視覚障害者の心理臨床―事例とプロセス.河野友信・若倉雅登(編):中途視覚障害者のストレスと心理臨床.87-95,銀海舎,東京,2003
2)高林雅子:網膜色素変性症患者の視点からみた心理的援助の課題.眼紀 54:630-636,2003
3)高林雅子・岩田文乃・村上 晶:網膜色素変性患者の心理的援助の課題―順天堂大学眼科学教室同窓会アンケート調査と患者の声から.臨眼 61:1233-1236,2007

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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