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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻10号

2010年10月発行

文献概要

特集 第63回日本臨床眼科学会講演集(8) 原著

初診時無眼球症を疑われた小眼球症の1例

著者: 雨宮かおり1 岡由紀子1 岡本好夫1 谷口美砂1 木村祐介1 黒田健一1 塚田佳代子1 田中康裕1

所属機関: 1日本赤十字社和歌山医療センター眼科

ページ範囲:P.1713 - P.1717

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要約 目的:初診時に無眼球症が疑われた小眼球症の症例の報告。症例:生後6日目の男児が,左眼眼窩部の陥凹で紹介され受診した。満期産の正常分娩で,出生時体重は3,274gであった。2歳の姉には先天異常はない。母親は患児の出生前に自然流産があり,その際に胎児に異常があったといわれた。両親間に近縁関係はない。所見:左眼窩部は陥凹し,瞼裂が狭小化,球結膜は平坦化し,無眼球症と思われた。磁気共鳴画像検査(MRI)で,左眼窩部に眼軸長6.55mmの眼球があり,眼球内部に高吸収域があった。右眼は正常であり,全身奇形はなかった。結論:本症例は第1次硝子体遺残を伴う片眼性の小眼球症と診断され,神経堤細胞の遊走不全が関係していると推定される。

参考文献

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14)Sadler TW(訳:安田峯生):ラングマン発生学.第9版.375-385,メディカル・サイエンス・インターナショナル,2006

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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