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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻10号

2010年10月発行

文献概要

特集 第63回日本臨床眼科学会講演集(8) 原著

9隻の虫体を片眼に認めた東洋眼虫症の1例

著者: 熊瀬有美1 加藤睦子1 高畠まゆみ1 中山正1 荻原紀子2 長谷川英男3

所属機関: 1岡山赤十字病院眼科 2岡山赤十字病院検査部 3大分大学医学部生物学教室

ページ範囲:P.1747 - P.1750

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要約 目的:東洋眼虫(Thelazia callipaeda)が結膜囊に寄生した症例の報告。症例:89歳男性が数週前からの右眼異物感で受診した。イヌの飼育歴はないが,多数の野良猫が近所に住んでいる。所見:右眼瞼を翻転すると活発に蠕動する白色線条の虫体が下結膜囊内に4隻,上結膜囊内に2隻いた。これらすべてを摘出した。4週間後の再診時にさらに3隻の虫体を発見して摘出し,以後は再発はない。虫体は雄1隻,雌8隻で,平均体長は雄7.5mm,雌11.6mmであった。光学顕微鏡で東洋眼虫と同定した。mtDNAのCox 1遺伝子塩基配列の解析では従来の2報告と部分的に一致した。結論:結膜囊の東洋眼虫症では複数の虫体が寄生していることがあり,経過観察で注意が必要である。

参考文献

1)鈴木 崇:東洋眼虫症.大鹿哲郎(編):眼科プラクティス18.前眼部アトラス.102-103,文光堂,東京,2007
2)影井 昇・原田正和・村主節雄:香川大学医学部国際医動物学教室に鑑別を依頼された眼虫属線虫類について(附,わが国におけるヒト眼虫症感染の現状について).Clinical Parasitology 18:14-17,2007
3)Koyama Y, Ohira A, Kono T et al:Five cases of thelaziasis. Br J Ophthalmol 84:441, 2000
(Spirurida, Thelaziidae)of carnivores and humans:morphological study by light and scanning electron microscopy. Parassitologia 45:125-133, 2003
from Europe and Asia by sequencing and mutation of the mitochondrial cytochrome C oxidase subunit 1 gene. Mol Cell Probes 19:306-313, 2005
6)影井 昇・林 滋生・石田常康・他:東京都下で発見された東洋眼虫の人体寄生例.寄生虫学雑誌 30:337-344,1981

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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