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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻10号

2010年10月発行

文献概要

特集 第63回日本臨床眼科学会講演集(8) 原著

単独放射線療法が奏効した,ステロイド療法により全身合併症を生じた特発性外眼筋炎の1例

著者: 高野翠1 大橋秀記1 河合憲司1

所属機関: 1東海大学医学部付属病院専門診療学系眼科学

ページ範囲:P.1759 - P.1763

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要約 目的:ステロイドパルス療法で重篤な全身合併症が生じ,放射線療法で軽快した特発性外眼筋炎の症例の報告。症例:61歳女性が複視と左眼の下転障害で受診した。磁気共鳴画像検査で両眼の外眼筋に肥厚があり,特発性外眼筋炎と診断した。総量6gのメチルプレドニゾロンのパルス療法で肝機能障害,耐糖能異常,胃びらんが生じた。眼痛と外眼筋腫脹の悪化に対し,両側の眼窩への放射線療法を総量20Gy,10分割で開始した。眼瞼腫脹と眼球突出は改善し,外眼筋腫脹も軽減した。以後30か月後の現在まで再発はない。結論:ステロイドパルス療法が副作用のために実施できない特発性外眼筋炎には,放射線による単独治療が奏効することがある。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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