icon fsr

文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻10号

2010年10月発行

文献概要

臨床報告

片眼に網膜静脈閉塞症を合併したBehçet病の1例

著者: 山本由美子1 山添健二1 西野耕司1 岸茂1 福島敦樹1

所属機関: 1高知大学医学部眼科学講座

ページ範囲:P.1795 - P.1798

文献購入ページに移動
要約 目的:片眼に網膜静脈分枝の閉塞があったBehçet病の症例の報告。症例:59歳男性が左眼の充血,眼痛,視力低下で受診した。左眼の視力低下は4年前にもあり,口腔アフタと下肢に結節性紅斑が頻発する既往があった。所見:矯正視力は右1.2,左0.03で,左眼は前房に炎症所見,硝子体混濁,上耳側の網膜静脈の白線化,黄斑浮腫があった。HLA-B51陽性であり,不全型Behçet病と診断した。トリアムシノロンアセトニドのテノン囊下注射を行い,前眼部の炎症と黄斑浮腫は軽減した。2か月後に左眼に硝子体出血が生じ,視力が手動弁に低下した。硝子体を切除し眼内レーザー光凝固を行った。黄斑浮腫は消失し,その4か月後に視力は0.3に改善した。結論:本症例の網膜静脈分枝の閉塞は,Behçet病による網膜静脈の血管炎による血栓形成に続発したと考えられる。初期のステロイド局所投与と硝子体出血への治療が奏効したと推定される。

参考文献

1)川島秀俊:ベーチェット病の臨床像.臨眼 57:1312-1316,2003
2)中目義則・塩野 貴:堀内敏男:網膜静脈分枝閉塞症を呈したベーチェット病の1例.臨眼 44:580-581,1990
3)成田正弥・村木康秀・安藤康恭・他:血管閉塞による多彩な眼底病変で発症したベーチェット病の3症例について.眼紀 44:76-82,1993
4)Graham EM, Stanford MR, Sanders MD et al:A point prevalence study of 150 patients with idiopathic retinal vasculitis. 1.Diagnositic value of ophthalmological features. Br J Ophthalmol 73:714-721, 1989
5)Atmaca LS:Experience with photocoagulation in Behçet's disease. Ophthalmic Surg 21:571-576, 1990
6)猪俣 孟:ベーチェット病.臨眼 44:584-585,1990
7)Branch Vein Occlusion Study Group:Argon laser scatter photocoagulation for prevention of neovascularization and vitreous hemorrhage in branch vein occlusion. Arch Ophthalmol 104:34-41, 1986
8)小竹 聡・合田千穂・笹本洋一・他:ベーチェット病患者における眼手術成績と術前眼炎症との関連に関する研究.ベーチェット病に関する研究 厚生科学研究平成11年度研究報告書.116-126,2000
9)山木邦比古:ベーチェット病.水木信久(編):基礎からわかるぶどう膜炎.147-155,金原出版,東京,2006
10)稲森由美子・水木信久:ベーチェット病の抗TNFα抗体療法.眼科 48:489-503,2006
11)南場研一・大野重昭:ベーチェット病による難治性網膜ぶどう膜炎に対するインフリキシマブの有効性.リウマチ科 39:27-35,2008
12)多田憲太郎・山本由美子・西野耕司・他:Behçet病に対する生物学的製剤インフリキシマブの使用経験.臨眼 63:1333-1336,2009

掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

雑誌購入ページに移動
icon up
あなたは医療従事者ですか?