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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 新しい時代の白内障手術 Ⅰ.感染予防

消毒

著者: 江口秀一郎1

所属機関: 1江山会江口眼科病院

ページ範囲:P.36 - P.41

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はじめに

 新しい時代の白内障手術とはどのような手術を意味するのか。多くの白内障術者の頭に漠然と浮かぶイメージは,小切開,低侵襲の白内障摘出手術を行い,挿入する眼内レンズは非球面眼内レンズや多焦点眼内レンズをはじめとする高機能眼内レンズを用い,術後乱視や球面度数ずれを最低限に制御し,良好なコントラスト感度をはじめとする視力にとどまらない高い視機能の獲得を目ざすというような手術であろう。そのようなより高い次元を目ざす手術においてもなお,感染予防は,1745年にJacques Davielが初めて行った近代的白内障手術の時代と同様に,すべての白内障術者が十分な注意を払い,有効な対策を立てねばならない課題であり続けている。

 白内障手術の感染予防,とくに消毒という観点から重要なのは,①手術に用いる器械,器具の滅菌,②術野の消毒,③術者の消毒である。このなかで手術に用いる器械,器具の滅菌に関しては,多くの医療施設で高圧蒸気滅菌法,酸化エチレン滅菌法,過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌法の3種の滅菌法を,機材の適性や耐久性,滅菌に要する時間と手術スケジュールに合わせて組合わせて使用している。手術器械,器具においてはすべての微生物を殺滅または除去する滅菌法が有効であり,その詳細は前項に記載されるので本項では触れないが,最近では従来の滅菌基準に加え,Creutzfeldt-Jakob病をはじめとするプリオン病にも有効な滅菌法が求められ1),134℃・18分でのオートクレーブ(プレバキューム式)または過酸化水素低温ガスプラズマ滅菌を用いての手術器具滅菌が今後普及していくことが予想される。

 生体である術野や術者の感染予防に滅菌法を導入することは不可能であり,感染症を惹起しえない水準にまで病原微生物を殺滅または減少させる消毒法を選択しなければならない。本項において以下に,術野および術者の消毒法とその留意点に関して述べる。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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