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文献詳細

雑誌文献

臨床眼科64巻11号

2010年10月発行

文献概要

特集 新しい時代の白内障手術 Ⅰ.感染予防

術後感染に関するインフォームド・コンセント

著者: 田坂嘉孝1 大橋裕一2

所属機関: 1愛媛県立中央病院眼科 2愛媛大学大学院医学研究科感覚機能医学講座視機能外科学分野

ページ範囲:P.66 - P.71

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はじめに

 白内障手術に限らず手術を行う前には必ずインフォームド・コンセント(説明と同意)が必要になる。手術内容について十分に説明し被施術者の同意を得るものであるが,そのなかで合併症の可能性(100%安全な手術などあり得ないのだから……)について言及しておく必要がある。医療法第1条の4第2項では「医師,歯科医師,薬剤師,看護師その他医療の担い手は,医療を提供するに当たり,適切な説明を行い,医療を受ける者の理解を得るよう努めなければならない」と医師の説明義務についての規定が法律で定められている。

 白内障手術には術中に生じる後囊破損やZinn小帯断裂,術後に生じる感染性の眼内炎など実にさまざまな合併症がある。なかでも白内障術後眼内炎は「白内障手術後に発症する眼内感染」で,頻度は稀とはいえ,ひとたび発症した場合に失明の危険がある点から,患者および術者の双方にとって最も避けたい合併症の1つである。小切開や極小切開の時代になり,今後,発症率が減少していくことが予想されるとはいえ,観血的手術である以上,感染の可能性はゼロではない。本項では術後眼内炎に関するインフォームド・コンセントについて,術前のルーチンと術後眼内炎を発症した場合とに分けて述べたい。

参考文献

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掲載誌情報

出版社:株式会社医学書院

電子版ISSN:1882-1308

印刷版ISSN:0370-5579

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