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特集 新しい時代の白内障手術 Ⅱ.満足度の高い眼内レンズ度数決定
度数計算の新しい展開
著者: 大谷伸一郎1 宮田和典1
所属機関: 1宮田眼科病院
ページ範囲:P.102 - P.106
文献購入ページに移動はじめに
現在の眼内レンズ度数計算の精度は,度数計算式の改良や眼軸長・角膜屈折力の測定機器の進歩により,高い水準へと達している。しかし,頻度は少ないものの依然として度数ずれを経験することがある。とくに症例数が増加しているLASIK(laserin situ keratomileusis),PTK(phototherapeutic keratectomy)など,エキシマレーザー角膜手術後の白内障手術時の眼内レンズ度数計算において,大きな度数ずれをきたすことが知られており,問題視されている1~3)。
その原因として,広く用いられているSRK/T式,Holladay Ⅰ式,Hoffer Q式などの第3世代の度数計算式が,角膜形状を球面と想定し,角膜曲率から前房深度を算出する点が挙げられる4,5)。これにより角膜屈折力の測定誤差,前房深度の予測誤差が生じ,結果として度数ずれを引き起こす。このため現在もなお,従来の方法に代わる新しい手段が模索されているが,その1つの答が光線追跡法を応用した新しい眼内レンズ度数計算法である6,7)。
現在の眼内レンズ度数計算の精度は,度数計算式の改良や眼軸長・角膜屈折力の測定機器の進歩により,高い水準へと達している。しかし,頻度は少ないものの依然として度数ずれを経験することがある。とくに症例数が増加しているLASIK(laser
その原因として,広く用いられているSRK/T式,Holladay Ⅰ式,Hoffer Q式などの第3世代の度数計算式が,角膜形状を球面と想定し,角膜曲率から前房深度を算出する点が挙げられる4,5)。これにより角膜屈折力の測定誤差,前房深度の予測誤差が生じ,結果として度数ずれを引き起こす。このため現在もなお,従来の方法に代わる新しい手段が模索されているが,その1つの答が光線追跡法を応用した新しい眼内レンズ度数計算法である6,7)。
参考文献
1)Kalski R, Danjoux J, Fraenkel G et al:Intraocular lens power calculation for cataract surgery after photorefractive keratectomy for high myopia. J Refract Surg 13:362-366, 1997
2)Gimbel H, Sun R, Furlong M et al:Accuracy and predictability of intraocular lens power calculation after photorefractive keratectomy. J Cataract Refract Surg 26:1147-1151, 2000
3)兼田英子・根岸一乃・山崎重典・他:治療的レーザー角膜切除施行眼に対する白内障手術における術後屈折値予測精度.眼紀 55:706-710,2004
4)魚里 博・舛田浩三:屈折矯正手術後の眼内レンズパワー計算の問題点.眼臨 94:354-356,2000
5)飯田嘉彦:屈折矯正手術後の白内障手術.IOL & RS 22:39-44,2008
6)Preussner PR, Wahl J, Lahdo H et al:Ray tracing for intraocular lens calculation. J Cataract Refract Surg 28:1412-1419, 2002
7)Preussner PR, Wahl J, Weitzel D:Topography-based intraocular lens power selection. J Cataract Refract Surg 31:525-533, 2005
8)柏木豊彦:光線追跡法の眼光学への新しい応用法.日眼会誌 93:569-574,1989
9)堀内一郎・赤木好男:光線追跡法に基づく新しい理論式による眼内レンズパワー計算.日眼会誌 105:619-627,2001
10)大谷伸一郎・南慶一郎・本坊正人・他:エキシマレーザー角膜手術後眼の眼内レンズ度数計算における光線追跡法の有用性.あたらしい眼科(投稿中)
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